翌朝、里香の部屋では・・・。 里香が朝食を食べていると、兄の善一が起きてきた。
「おはよう、お兄ちゃん。」
「おはよう、里香。大学生というのは、早く起きるものなんだな。」
「うん。」
「何だ、うかない顔をしているじゃないか。何か、心配事でもあるのか?」
「実はね、友達の彼を好きになっちゃったんだ・・・。」
それから、里香は、昨日、友達の携帯の内容を盗み見して、友達の目の前で友達の彼とキスをしたことを、兄に行った。
善一は言った。
「何だ、それだったら、簡単じゃないか。おまえはその男が好きなんだから、その好きな男を友達から奪えばいいじゃないか!」
「だけど、携帯の中身を見て、友達に見せつける形でキスをしたことについて、今思うと、やっぱり罪悪感を感じるんだよね。」
「何を言っているんだ!世の中、弱肉強食なんだぜ!どんな方法を取っても、奪ったやつが勝ちなんだよ!」
「わたしも、友達の彼がわたしを好きになってくれたらいいと思っているけど・・・。」
「それなら、たとえ自分が友達にどう思われようと、できる限りの手段を使って、友達の彼を奪えばいいんだ、里香!」
「そうなのかなあ・・・。」
「そうさ、まあ、頑張れよ!それで話は変わるが、今日は久しぶりに東京のまちを歩いてまわるから、晩飯はいらないからさ、今晩もう一晩泊めてくれよな、里香!」
「何日でも泊まっていったらいいわよ、お兄ちゃん。それで、わたしはもう出かけるし、お兄ちゃんがここに帰って来た時に、わたしがまだ帰っていなかったらいけないから、この部屋の合い鍵を渡しておくね。」
善一に合い鍵を渡してから、里香は学校に行った。その日の授業の1コマ目は英会話だった。里香は、いつもより早く出てきたので、まだ誰も来ていない、英会話の授業が行われる教室に行って、座席に座っていた。いつもなら、まさみが来て隣りにすわるはずだ。すると、すぐにまさみがやって来て、隣りに座った。
「おはよう、里香。」
「おはよう、まさみ。」
里香がまさみを見ると、まさみはいつものように笑顔を浮かべていなくて、険しい顔をしていた。
「里香、この携帯の画面を見てよ!」
まさみは、自分の携帯の、昨日里香が見たメールの内容が写った画面を見せた。
「この文面を、昨日の昼休み、わたしが忘れ物を取りに行った時に見たわよね、里香?」「ええ、人のメールを見るなんて一瞬悪いことだと思ったんだけど、つい見てしまったの。ごめんなさい、まさみ。」
「それで、わたしがじゅんちゃんのところへ行った時にキスをしていたのね。里香、はっきり言って!里香は、じゅんちゃんのことが好きなの?」
「ええ、まさみ、どうやらわたし、関さんのことが好きになってしまったみたい。」
「それなら、こちらもはっきり言うわ!じゅんちゃんは、わたしの恋人よ。わたしとじゅんちゃんは、一生、一緒にいる約束までしているの。だから、里香はじゅんちゃんのことをあきらめて、もうちょっかいは出さないで!」
「ひょっとして、関さんと結婚の約束をしているの、まさみ?」
「ええ、そうよ。だからもう、里香がじゅんちゃんのことをいくら好きになっても、わたしという婚約者がいる限り、どうしようもないわよ!だから、あきらめて!」
まさみは、きっぱりと、言った。その瞬間、里香は少しショックを受けた顔を浮かべて、黙ってしまった。それから、1コマ目の授業が終わるまで、二人がしゃべることはなかった。1コマ目が終わって、まさみは里香に何も言わないで席を立って、次の授業の教室に行ってしまった。
里香は思った。
(まさみがあれだけ、自信たっぷりに言うということは、この恋、成就することは、ないのかな・・・?)
2コマ目が終わって、正午になった。K大では、土曜日は、授業は午前中だけである。*1一番下に説明あり まさみが正門の前に行くと、すでに準三が待っていた。
まさみは笑顔で言った。
「はーい、じゅんちゃん、待った?」
「こんにちは、まさみ。いや、俺もさっきここに来たばっかりだけど、それにしてもどうしたんだ、明るい顔をして。俺は昨日の話の続きをするのかと思って、戦々恐々としているのに。」
「里香に携帯を見たのかって聞いたら、白状したわ。」
「なるほど、それでもう怒っていないんだな。それで、里香さんに何か言ったのか、まさみ。」
「うん、わたしたちは結婚の約束までしているから、いくらじゅんちゃんを好きになっても無駄だからあきらめなさいって、はっきり言ってやったわ。そうしたら、里香、黙って何も言わなくなっちゃった。」
「結婚の約束か、まあボディーガードと顧問弁護士をすると言ったら、他の女と結婚していてそんなことは出来ないから、そういうことになるんだろうけどな。だけど、まさみ、結構、きついことを言ったんだなあ。里香さん、ショックを受けていただろう。」
「でも、わたしさあ、里香と同じK大付属高校だったんだけど、里香はね、高校の時、同級生の子の彼を奪って、自分の彼にしたのよ。だから、また里香がおんなじことを繰り返さないためにも、ここではっきり言わなくちゃと思って、思い切って言ってやったの!」
「ふうん、そうなのか。」
「それで、じゅんちゃんにもお願いがあるの。わたしが言っただけでは里香はあきらめないかも知れないから、じゅんちゃんからもはっきり里香に、里香のことは何とも思っていないからつき合えないと言って欲しいの!」
「つまり、引導を渡せってことだな。でも、まさみが言って、その上さらに俺が言ったら、里香さんにかなりのショックを与えると思うんだが、里香さんの友人として、まさみ、それでもかまわないのか?」
「いいのよ、じゅんちゃん。わたしがいくら言っても、じゅんちゃんが里香につき合えないとはっきり言わないと、あの子の性格だったら、じゅんちゃんのことを、そう簡単に、あきらめないと思うわ。」
「わかったよ、まさみ。じゃあ、里香さんには可哀想だが、月曜日に里香さんが空手同好会の部室に来た時に、俺のことをあきらめるように言うことにするよ。」
「駄目、じゅんちゃん、今からすぐ言いに行って!そうしないと、わたしは、里香の性格をよく知っているから、安心できないわ。それに、これから、じゅんちゃんと安心してプレイができないわ。」
まさみは、懇願するような顔をして、準三にそう言った。
「わかったよ、まさみ。今から里香さんにあきらめるように言うよ。それでさ、俺、里香さんの携帯の番号、部室に行かないとわかんないから、教えてくれないか?」
「いいわよ・・・。」
まさみは準三に、里香の携帯電話の番号を教えた。それから、準三は、自分の携帯から、里香に電話をした。
「もしもし、若菜里香さんですか?」
「もしもし、そうですけれど、ああ、その声は、関さんですね。」
「そうだよ。あのう、ちょっと話があるので、今から会えないかな。」
「あ、わたし今、学食でランチを食べているので、関さん、今から学食の方へ来られます?」
「いや、食事が終わってからでいいよ。だったら、里香さん、30分後に講堂の裏のベンチのところへ来られる?」
「講堂の裏のベンチですか?大丈夫ですわ、関さん。」
「じゃあ、また後で。」
そう言って、準三は電話を切った。そしてまさみに言った。
「これでいいんだな、まさみ。でも、里香さん、きっと、ものすごく傷つくぞ!俺がはっきり言ったら、泣き出すかも知れない。」
「それは、承知の上よ。でも、今の時点で、じゅんちゃんからはっきり言っておかなくちゃ、里香はあなたのことをあきらめないと思うの。」
「わかったよ、まさみ。」
「でも、講堂の裏のベンチなんて、ずいぶんひとけのない場所を指定するのね、じゅんちゃん。」
「あのさ、喫茶店みたいな人の多いところで会って、俺が引導を渡した時に、里香さんが泣き出して、それを他のK大の生徒が見ていてうわさにでもなったら、里香さんが可哀想だろうが。だから、それぐらいの配慮はしてやらなくちゃと思ったんだ。」
「そうなの、わかったわ、じゅんちゃん。」
それから30分後、里香は講堂の裏のベンチに座っている準三の前にやってきた。準三は里香に隣りに座るように言った。里香は、準三の隣りに座った。
「里香さん、話しておきたいことがあるんだ。」
「何でしょうか、関さん?」
「里香さんは、この前、6号館校舎裏のベンチのところで、俺のこと好きだって言ったね。」
「はい、関さん、そう言いました。」
「その気持ちは今も変わらない?」
「はい、変わりません。」
「でも俺は、君の友達の菊池まさみと、結婚の約束をしているんだ。だから、君を好きになることはないし、君とつき合うこともできない。」
「わたしは、関さんのことが好きです。実は、まさみと一緒にいる関さんに初めて会った時から、胸がドキドキして、いわゆる一目惚れをして、関さんを好きになったんですけれど、関さんのことを好きになっては駄目なんですか?」
「駄目とは言わないけれど、ただ、まさみには、里香さんや他の女性にはないすばらしいものがある。俺は、まさみのそういうところが好きになったので、その部分が欠けているまさみ以外の女性を好きになることはない。」
「まさみのどこが、そんなにいいんですか、関さん?」
「それは言うまいと思っているんだけど、知りたいか、里香さん?」
「ええ、遠慮なく、はっきりと言って下さい、関さん。」
「では、はっきりと言おう!オマ×コだよ。」
「ええ、オマ×コ!」
「そう、俺が今までに出会った女性の中で、あんなに激しく上手なセックスをする女性は、まさみ以外にいない。まさみのセックスは、本当に芸術品だ。」
「あのう、関さん、わたしとこれからセックスをしませんか?まさみ以上に、関さんを喜ばせてみせますから。」
「君は今までに何回、男性とセックスした経験がある?」
「え、あのう3回ですけど。」
「ふっ、里香さんは正直だね。それがまあ里香さんのいいところなんだけど。でも3回しか経験がなくては、まさみみたいなすばらしいセックスはできない。これは断言してもいい。」
「セックスが上手な女性じゃないと駄目なんですか、関さんは?」
「まさみとセックスをしてしまったら、他の女性では駄目だと言わざるを得ない。だから・・・。」
「だから・・・。」
「俺のことはあきらめてくれ、里香さん!」
その瞬間、里香は泣き出してしまった。
「うえええーん・・・。」
「本当にごめん、ごめんよ、里香さん。」
準三は、ベンチに座っている里香のスカートの上にハンカチを置いて、里香の元を離れていった。
里香は、いつまでも、いつまでも、涙が枯れるぐらい、泣き続けた。
その日の晩遅く、里香の部屋に、善一が帰ってきた。善一は里香が寝ているだろうと思って、里香から渡された合い鍵を使ってドアを開けようとした。が、ドアは開いていた。中に入ると、テーブルの前に里香が何も言わずに座っていた。
善一は、テーブルの前に座っている里香を見て言った。
「なんだ、里香!まだ寝ていなかったのか?うん、何か様子が変だな。何かあったのか?」
里香は、立ち上がって、善一の前までやってきた。そうして、善一に抱きつくと、号泣を始めた。
「うえええーんー、お兄ちゃーんー、うえええーんー・・・。」
善一は言った。
「どうしたんだ、里香!いったい、何があったんだ、言ってみろ!誰かに、何か言われたのか!里香を泣かすような奴は俺が許さん、はっきり言ってみろ、里香!」
(第7話へつづく)
*1:K大の授業は1コマ90分にしています。なお、現在の大学では週休2日で土曜日には授業(講義)がない大学があるかも知れませんが、K大では土曜日の午前中も授業があることにしています。
[第1話→第2話→第3話→第4話→第5話→第6話→第7話]
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「おはよう、里香。大学生というのは、早く起きるものなんだな。」
「うん。」
「何だ、うかない顔をしているじゃないか。何か、心配事でもあるのか?」
「実はね、友達の彼を好きになっちゃったんだ・・・。」
それから、里香は、昨日、友達の携帯の内容を盗み見して、友達の目の前で友達の彼とキスをしたことを、兄に行った。
善一は言った。
「何だ、それだったら、簡単じゃないか。おまえはその男が好きなんだから、その好きな男を友達から奪えばいいじゃないか!」
「だけど、携帯の中身を見て、友達に見せつける形でキスをしたことについて、今思うと、やっぱり罪悪感を感じるんだよね。」
「何を言っているんだ!世の中、弱肉強食なんだぜ!どんな方法を取っても、奪ったやつが勝ちなんだよ!」
「わたしも、友達の彼がわたしを好きになってくれたらいいと思っているけど・・・。」
「それなら、たとえ自分が友達にどう思われようと、できる限りの手段を使って、友達の彼を奪えばいいんだ、里香!」
「そうなのかなあ・・・。」
「そうさ、まあ、頑張れよ!それで話は変わるが、今日は久しぶりに東京のまちを歩いてまわるから、晩飯はいらないからさ、今晩もう一晩泊めてくれよな、里香!」
「何日でも泊まっていったらいいわよ、お兄ちゃん。それで、わたしはもう出かけるし、お兄ちゃんがここに帰って来た時に、わたしがまだ帰っていなかったらいけないから、この部屋の合い鍵を渡しておくね。」
善一に合い鍵を渡してから、里香は学校に行った。その日の授業の1コマ目は英会話だった。里香は、いつもより早く出てきたので、まだ誰も来ていない、英会話の授業が行われる教室に行って、座席に座っていた。いつもなら、まさみが来て隣りにすわるはずだ。すると、すぐにまさみがやって来て、隣りに座った。
「おはよう、里香。」
「おはよう、まさみ。」
里香がまさみを見ると、まさみはいつものように笑顔を浮かべていなくて、険しい顔をしていた。
「里香、この携帯の画面を見てよ!」
まさみは、自分の携帯の、昨日里香が見たメールの内容が写った画面を見せた。
「この文面を、昨日の昼休み、わたしが忘れ物を取りに行った時に見たわよね、里香?」「ええ、人のメールを見るなんて一瞬悪いことだと思ったんだけど、つい見てしまったの。ごめんなさい、まさみ。」
「それで、わたしがじゅんちゃんのところへ行った時にキスをしていたのね。里香、はっきり言って!里香は、じゅんちゃんのことが好きなの?」
「ええ、まさみ、どうやらわたし、関さんのことが好きになってしまったみたい。」
「それなら、こちらもはっきり言うわ!じゅんちゃんは、わたしの恋人よ。わたしとじゅんちゃんは、一生、一緒にいる約束までしているの。だから、里香はじゅんちゃんのことをあきらめて、もうちょっかいは出さないで!」
「ひょっとして、関さんと結婚の約束をしているの、まさみ?」
「ええ、そうよ。だからもう、里香がじゅんちゃんのことをいくら好きになっても、わたしという婚約者がいる限り、どうしようもないわよ!だから、あきらめて!」
まさみは、きっぱりと、言った。その瞬間、里香は少しショックを受けた顔を浮かべて、黙ってしまった。それから、1コマ目の授業が終わるまで、二人がしゃべることはなかった。1コマ目が終わって、まさみは里香に何も言わないで席を立って、次の授業の教室に行ってしまった。
里香は思った。
(まさみがあれだけ、自信たっぷりに言うということは、この恋、成就することは、ないのかな・・・?)
2コマ目が終わって、正午になった。K大では、土曜日は、授業は午前中だけである。*1一番下に説明あり まさみが正門の前に行くと、すでに準三が待っていた。
まさみは笑顔で言った。
「はーい、じゅんちゃん、待った?」
「こんにちは、まさみ。いや、俺もさっきここに来たばっかりだけど、それにしてもどうしたんだ、明るい顔をして。俺は昨日の話の続きをするのかと思って、戦々恐々としているのに。」
「里香に携帯を見たのかって聞いたら、白状したわ。」
「なるほど、それでもう怒っていないんだな。それで、里香さんに何か言ったのか、まさみ。」
「うん、わたしたちは結婚の約束までしているから、いくらじゅんちゃんを好きになっても無駄だからあきらめなさいって、はっきり言ってやったわ。そうしたら、里香、黙って何も言わなくなっちゃった。」
「結婚の約束か、まあボディーガードと顧問弁護士をすると言ったら、他の女と結婚していてそんなことは出来ないから、そういうことになるんだろうけどな。だけど、まさみ、結構、きついことを言ったんだなあ。里香さん、ショックを受けていただろう。」
「でも、わたしさあ、里香と同じK大付属高校だったんだけど、里香はね、高校の時、同級生の子の彼を奪って、自分の彼にしたのよ。だから、また里香がおんなじことを繰り返さないためにも、ここではっきり言わなくちゃと思って、思い切って言ってやったの!」
「ふうん、そうなのか。」
「それで、じゅんちゃんにもお願いがあるの。わたしが言っただけでは里香はあきらめないかも知れないから、じゅんちゃんからもはっきり里香に、里香のことは何とも思っていないからつき合えないと言って欲しいの!」
「つまり、引導を渡せってことだな。でも、まさみが言って、その上さらに俺が言ったら、里香さんにかなりのショックを与えると思うんだが、里香さんの友人として、まさみ、それでもかまわないのか?」
「いいのよ、じゅんちゃん。わたしがいくら言っても、じゅんちゃんが里香につき合えないとはっきり言わないと、あの子の性格だったら、じゅんちゃんのことを、そう簡単に、あきらめないと思うわ。」
「わかったよ、まさみ。じゃあ、里香さんには可哀想だが、月曜日に里香さんが空手同好会の部室に来た時に、俺のことをあきらめるように言うことにするよ。」
「駄目、じゅんちゃん、今からすぐ言いに行って!そうしないと、わたしは、里香の性格をよく知っているから、安心できないわ。それに、これから、じゅんちゃんと安心してプレイができないわ。」
まさみは、懇願するような顔をして、準三にそう言った。
「わかったよ、まさみ。今から里香さんにあきらめるように言うよ。それでさ、俺、里香さんの携帯の番号、部室に行かないとわかんないから、教えてくれないか?」
「いいわよ・・・。」
まさみは準三に、里香の携帯電話の番号を教えた。それから、準三は、自分の携帯から、里香に電話をした。
「もしもし、若菜里香さんですか?」
「もしもし、そうですけれど、ああ、その声は、関さんですね。」
「そうだよ。あのう、ちょっと話があるので、今から会えないかな。」
「あ、わたし今、学食でランチを食べているので、関さん、今から学食の方へ来られます?」
「いや、食事が終わってからでいいよ。だったら、里香さん、30分後に講堂の裏のベンチのところへ来られる?」
「講堂の裏のベンチですか?大丈夫ですわ、関さん。」
「じゃあ、また後で。」
そう言って、準三は電話を切った。そしてまさみに言った。
「これでいいんだな、まさみ。でも、里香さん、きっと、ものすごく傷つくぞ!俺がはっきり言ったら、泣き出すかも知れない。」
「それは、承知の上よ。でも、今の時点で、じゅんちゃんからはっきり言っておかなくちゃ、里香はあなたのことをあきらめないと思うの。」
「わかったよ、まさみ。」
「でも、講堂の裏のベンチなんて、ずいぶんひとけのない場所を指定するのね、じゅんちゃん。」
「あのさ、喫茶店みたいな人の多いところで会って、俺が引導を渡した時に、里香さんが泣き出して、それを他のK大の生徒が見ていてうわさにでもなったら、里香さんが可哀想だろうが。だから、それぐらいの配慮はしてやらなくちゃと思ったんだ。」
「そうなの、わかったわ、じゅんちゃん。」
それから30分後、里香は講堂の裏のベンチに座っている準三の前にやってきた。準三は里香に隣りに座るように言った。里香は、準三の隣りに座った。
「里香さん、話しておきたいことがあるんだ。」
「何でしょうか、関さん?」
「里香さんは、この前、6号館校舎裏のベンチのところで、俺のこと好きだって言ったね。」
「はい、関さん、そう言いました。」
「その気持ちは今も変わらない?」
「はい、変わりません。」
「でも俺は、君の友達の菊池まさみと、結婚の約束をしているんだ。だから、君を好きになることはないし、君とつき合うこともできない。」
「わたしは、関さんのことが好きです。実は、まさみと一緒にいる関さんに初めて会った時から、胸がドキドキして、いわゆる一目惚れをして、関さんを好きになったんですけれど、関さんのことを好きになっては駄目なんですか?」
「駄目とは言わないけれど、ただ、まさみには、里香さんや他の女性にはないすばらしいものがある。俺は、まさみのそういうところが好きになったので、その部分が欠けているまさみ以外の女性を好きになることはない。」
「まさみのどこが、そんなにいいんですか、関さん?」
「それは言うまいと思っているんだけど、知りたいか、里香さん?」
「ええ、遠慮なく、はっきりと言って下さい、関さん。」
「では、はっきりと言おう!オマ×コだよ。」
「ええ、オマ×コ!」
「そう、俺が今までに出会った女性の中で、あんなに激しく上手なセックスをする女性は、まさみ以外にいない。まさみのセックスは、本当に芸術品だ。」
「あのう、関さん、わたしとこれからセックスをしませんか?まさみ以上に、関さんを喜ばせてみせますから。」
「君は今までに何回、男性とセックスした経験がある?」
「え、あのう3回ですけど。」
「ふっ、里香さんは正直だね。それがまあ里香さんのいいところなんだけど。でも3回しか経験がなくては、まさみみたいなすばらしいセックスはできない。これは断言してもいい。」
「セックスが上手な女性じゃないと駄目なんですか、関さんは?」
「まさみとセックスをしてしまったら、他の女性では駄目だと言わざるを得ない。だから・・・。」
「だから・・・。」
「俺のことはあきらめてくれ、里香さん!」
その瞬間、里香は泣き出してしまった。
「うえええーん・・・。」
「本当にごめん、ごめんよ、里香さん。」
準三は、ベンチに座っている里香のスカートの上にハンカチを置いて、里香の元を離れていった。
里香は、いつまでも、いつまでも、涙が枯れるぐらい、泣き続けた。
その日の晩遅く、里香の部屋に、善一が帰ってきた。善一は里香が寝ているだろうと思って、里香から渡された合い鍵を使ってドアを開けようとした。が、ドアは開いていた。中に入ると、テーブルの前に里香が何も言わずに座っていた。
善一は、テーブルの前に座っている里香を見て言った。
「なんだ、里香!まだ寝ていなかったのか?うん、何か様子が変だな。何かあったのか?」
里香は、立ち上がって、善一の前までやってきた。そうして、善一に抱きつくと、号泣を始めた。
「うえええーんー、お兄ちゃーんー、うえええーんー・・・。」
善一は言った。
「どうしたんだ、里香!いったい、何があったんだ、言ってみろ!誰かに、何か言われたのか!里香を泣かすような奴は俺が許さん、はっきり言ってみろ、里香!」
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この記事へのコメント
関君は、第二部では、重要な役なんですけれど、脇役なんですわ。それでも、ちょこちょこっと出てくる予定です。また第7話もアップしましたので、見て下さいね。第9話から、本格奴隷調教が始まります。
それで、アフィリエイトって、儲かりますか?わたしはDMMの方は、3カ月以上やって4500円の儲けで、DTIの方は、自分でカリビアンコムに入会した分しか儲けがありません。このサイトはお客さんが多いから、DMMは結構クリックしてくれる人が多いんですがねえ。まあ、小遣い稼ぎと思ったら、そんなものなのかも知れません。
それで、アフィリエイトって、儲かりますか?わたしはDMMの方は、3カ月以上やって4500円の儲けで、DTIの方は、自分でカリビアンコムに入会した分しか儲けがありません。このサイトはお客さんが多いから、DMMは結構クリックしてくれる人が多いんですがねえ。まあ、小遣い稼ぎと思ったら、そんなものなのかも知れません。
最初に始まった時には
こんな小説になるなんて
考えてもいませんでした。
関君、がんばれ♪
こんな小説になるなんて
考えてもいませんでした。
関君、がんばれ♪
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