
地下鉄御堂筋線の電車は梅田を出発すると、淀屋橋、本町、心斎橋と止まって、四番目の駅、なんばに着いた。そうして、まさみと森山は電車から降りると、階段を登って、改札口を出た。
「うわあ、すごい!」
「何がすごいんだ、まさみちゃん?」
「梅田の方にも大きな地下街があったけれど、こちらにも地下街があるんですね。」
「ああ、ここはなんばウオークというんだ。それで、そこの左側の階段を下りていったら、近鉄の難波駅だ。乾は三都駅から難波駅まで近鉄で来て、ここから地下鉄に乗り換えたんだ。」
「そうですか?」
「だけど、まさみちゃん。ミナミは、地下街より地上の方が面白いから、そこの階段から地上に出よう。」
「わかりました、森山さん。」
森山とまさみは階段を登って、地上に出た。
「ここは、大きな道路ですね。上を走っているのは、高速道路ですか?」
「ここは、千日前通りという大阪市内を東西に走る幹線道路のひとつだ。それで、その上を走っているのは、阪神高速道路だ。まさみちゃん、ひとつ、面白いものを見せてやろう。そこの歩道の向こう側の信号をずっと見てごらん。」
「はい。」
まさみは、信号をずっと見ていた。
「ずうっと赤色ですけど。」
「そうだ。大阪人は信号を守らないから、青でも赤の点滅にしているんだよ。」
「ふうん、そうなんですか。」
それから、森山とまさみは戎橋筋のアーケード街に入った。
そうして、森山とまさみは戎橋筋のアーケードを抜けると、橋にさしかかり、橋の上で立ち止まった。
「まさみちゃん、ここが戎橋という道頓堀にかかっている橋だ。堀に面したビルの壁を見まわしてごらん。」
まさみは、戎橋から堀に面したビルを見まわして、びっくりした。
「堀に面したビルには、全て看板がかかっているんですね。」
「そうだ、ここは看板の山だ。それで、特に有名な看板はあそこのグリコの看板だ。大阪で生まれた人はね、物心ついたら、ここの風景を覚えるんだよ。いわゆる大阪の原風景といってもいい。」
「そうですか?わたしは東京生まれだけれど、東京だったら、原風景と言ったら、渋谷のスクランブル交差点か、浅草の商店街か、銀座4丁目の交差点辺りになるのかな?」
「まあでも、これほどインパクトのある風景は、東京にはちょっとないよな。じゃあ、まさみちゃん、道頓堀の商店街に行ってみよう。」
それから、二人は道頓堀の商店街を歩いた。
まさみは、ここでもびっくりしたような顔をしながら、まわりを見まわしていた。
「何か、かに料理の店はかにの看板があるのはわかるんだけれど、えび料理の店はえびの形をした看板、さかな料理に店はさかなの看板、それにくいだおれって店の前には太鼓をたたいている人形があるのは、すごいですね。」
「さかなじゃなくて、あれはふぐだよ、まさみちゃん。それとくいだおれの人形はくいだおれの初代社長をモデルにして作ったらしいよ。まあ、今は亡くなった漫才師の*横山やすしがモデルだと思っている人も多いけどね。」
「そうですか?でも、こんな町、東京にはないですね。」
「東京どころか、日本でもこういう雰囲気の商店街はここだけだよ。」
「でも、ここの商店街って、渋谷と違って、若者が少ないですね。」
「ああ、確かにそうだね。じゃあ、若者が多い所に連れて行って上げようか?」
「えっ、そんな所があるんですか?」
「ああ、この近くにあるよ。俺についておいで。」
そう言うと、森山は道頓堀の商店街を引き返して、戎橋を渡った。
そうして、心斎橋筋商店街のアーケードの中に入った。そして、いくつめかの角を左に曲がって、御堂筋を渡った。すると、まわりの通行人はアメリカ風のファッションをした若者ばかりになった。
まさみはびっくりした。
「すごいですね。こんな所に若者の町があるなんて。」
「ああ、この辺はアメリカ村といって、若者向きの店がたくさんある若者のスポットなんだ。」
「そうですか?」
「まさみちゃん、たこ焼きでも食べないか?」
「あ、はい、いただきます。」
森山は甲賀流という店でたこ焼きを2パックと缶ビールとジュースを買った。
そうして、店の前にある公園のベンチに、まさみと一緒にすわった。
「さあ、まさみちゃん。たこ焼きを食べよう。」
「はい。うわあ、ここのたこ焼きって、白いものがかかっているんですね。」
「それはマヨネーズだよ。甲賀流はマヨたこで有名なんだよ。」
「そうなんですか?」
まさみはたこ焼きを食べ始めた。
「マヨたこ、美味しいわ、森山さん。」
「そうだね。」
森山は笑顔を浮かべてまさみの顔を見た。
まさみも森山の顔を見て、笑顔を浮かべた。
「まさみちゃん、まわりの人の格好を見てたら、俺達、完全に浮いているね。」
「そうですね。森山さんはスーツを着ているし、わたしは大学に行く時の白いブレザーを着ているから。」
「えっ、まさみちゃんは大学生なのか?」
「そうですよ。」
「東京の短大?」
「いえ、K大ですけど。」
「うそー!K大の学生なの?」
「そうですよ。」
森山は驚きの表情をしてまさみを見ていた。
それから、森山は前を向いて、何か考えている様子だった。
「そうか、まさみちゃん。じゃあ、もう夕方になって来たし、たこ焼きを食べたら、夕焼けがきれいな所に連れて行って上げるよ。」
「わかりました。」
森山とまさみはたこ焼きを食べ終わるとベンチから立って、歩き始めた。そうして、森山とまさみは地下鉄御堂筋線の心斎橋駅から梅田に戻った。
梅田に戻ると森山はまさみを梅田スカイビルに連れて行って、そこの空中庭園に行った。
二人は展望台から夕焼けに染まった大阪の街の風景を見た。
「どうだ、まさみちゃん。ここから見る大阪の夕焼けはきれいだろう?」
「そうですね。それに、梅田って、高層ビルがたくさん建っていて、まるで新宿みたいな感じですね。」
「そうだね。ところで、まさみちゃん、ちょっと質問させてもらっていいかい?」
「どうぞ、森山さん。」
「君はK大に通いながら、ダッタンに勤めているわけ?」
「ううん・・・。どう答えたらいいのかしら。」
「まさみちゃん、俺は君の敵ではない。むしろ、マゾである君のこれからの人生を応援してやりたいと思っている。だから、正直に答えてくれないか、まさみちゃん。」
「本当にそうなんですか、森山さん?」
そう言うと、まさみは真剣な顔になって、森山の目をじっと見た。
「ああそうだよ、まさみちゃん。」
そう言うと、森山も、真剣な顔をして、まさみの目をじっと見た。
「わかりました。ごめんなさい、森山さん。」
「えっ、何で急に謝るの?」
「うそをついていたからです。わたしは新宿のダッタンには勤めていません。K大に通うただの女子大生です。」
「そうなの?」
「そうです。新宿のダッタンはわたしの知っている男性がよく行っていた店の名前です。」
「その知っている男性っていうのは君のご主人様だね?」
「想像にお任せしますけれど、森山さんならわかると思います。」
「だったら、どうして、まさみちゃんは若菜興業に来たの?」
「若菜興業へは自分から来たわけじゃありません。東京から無理矢理連れて来られたんです。」
「何だって!」
森山は、驚いた顔をして、叫んだ。
「そうです。わたしと恵はさらわれて、若菜興業に来たんです。」
「さらわれたのは、何か理由があるの、まさみちゃん?」
「多分、若菜さんは、自分の妹のためにわたしをさらったのだと思います。恵をさらったのはわたしをさらおうとした時に恵もその場にいたからです。とにかく、わたしと恵は東京から大阪にさらわれて来たんです。」
「まさみちゃんは、善一の妹との間に対立関係があるんだね。」
「そうです。だけど、若菜さんはひとつ、大きな過ちを犯しました。」
「過ちって何?」
「もし、わたしにご主人様がいて、その人が怖い人だったらどうします?たとえば、日本の政界や経済界に力のある人で、若菜さん、いや若菜興業をぶっつぶすぐらいたやすくできる人だったら、どうします?多分、若菜さんはそういうことは知らないで、わたしをさらっていると思います。」
「そうなのか?」
森山はしばらく考え込んでいた。
が、突然、笑い出した。
「ははははは、それだったら善一の自業自得だな、まさみちゃん。多分、君にそういうご主人様がいたら、近いうちに若菜興業に君がいるのを突き止めて、君を助けに来るだろう。そうして、善一や君に手をつけた者をただで済ますはずはないだろうな。そうだろう、まさみちゃん?」
森山は、まさみの方を向いてそう言った。
まさみも森山の方を向いて、森山の目を見た。
「そうでしょうね。」
まさみは笑みを浮かべて、そう言った。
(第68話へつづく)
*横山やすし-西川きよしとコンビを組んでいた天才漫才師で八方破れを地でいくような実生活をしていて、大阪では結構人気があった。俳優の木村かずやは息子。それから、大阪では食い倒れの人形をやっさん人形という人もいる。
【付録】 道頓堀川看板とネオン 道頓堀商店街
[初回:第1話→・・・→前回:第66話→今回:第67話→つづき:第68話]
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心斎橋筋商店街心斎橋筋商店街 (しんさいばしすじしょうてんがい)は、大阪市中央区 (大阪市)|中央区にあるアーケード商店街。歴史は古く、18世紀半ばに「呉服屋松屋」(今の大丸)が店を出した頃には、当時の心斎橋周辺に商店がいくつも集まり、すでに買い物の町として形
2007/03/17(土) 19:26:37 | 大阪まいどっとこむ